スタッフブログ

法人税の納税義務

皆さんは何故、法人税を納める必要があるか考えたことはあるでしょうか。

一般的に、税金は人が国に納めるものです。しかし、法人は人ではありません。

「人でないなら、法人として税金を納める必要はないじゃないか」と考えます。

実際に、所得税は明治20年に創設されていますが、その時、法人税は創設を見送られています。

法人税の創設は明治32年になり、所得税導入の12年後になります。

法人税の課税理由には、法人実在説と法人擬制説があります。

まず、法人とは、自然人以外で、法律によって「人」とされものを言います。

この「人」の部分が重要になってきます。

「人」を単なる法律の上に成り立つものと見ず、自然人と同様に社会的実在であるとする考え方が法人実在説になります。

つまり、人と同じなので、税金は納めなくてはいけないという考え方です。

次に、法人擬制説は、法人は法律が「人」として定めるものであり、法的主体には該当しないという考え方です。

つまり、単なる法律上の「人」であり、実在はしないという考え方です。

そうすると、法人擬制説では法人税の課税は必要のないものに思えます。

しかし、戦後のシャウプ勧告(*1)で、「法人を株主の集合体として捉え、法人自体には担税力はなく、法人税は個人所得税の前払い」とする考え方が出てきます。

つまり、法人税は所得税を補完するものであり、法人が得た利益は株主に帰属するため、それを法人税として納めることは、いずれ分配される配当(個人の所得)に対する所得税の前払いになるというものです。

一般的に、法人擬制説が正しいとする見方が多いですが、どちらの説をとろうと法人税の納税は必要になります。

個人的には、法律上「人」と見たり、所得税の前払いと考えたり、無理矢理、法人税を納める理由を考えているように感じますが、私たちの仕事がなくなっては困るので、皆さん、適切な納税を心掛けるようにしてください。

*1:シャウプ勧告は、GHQの要請によって昭和24年に結成された、カール・シャウプを団長とする日本税制使節団による日本の租税に関する報告書である。

橋本

最近の投稿