法人税の確定申告
増資・減資とは
Ⅰ 増資とは 増資とは、資金調達のために新株を発行するなどして資本金を増やすことをいいます。 増資によるメリットは...
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2022年07月27日
法人税の確定申告
Ⅰ 賃上げ促進税制とは
賃上げや人材育成への投資を積極的に行う法人が、雇用者に支払う給与等の支給額を一定割合以上増加させた場合には、その増加分に応じその事業年度の法人税額を一定割合まで控除できる制度です(個人にも同様の制度がありますが、本記事では省略します)。
以前は「所得拡大促進税制」と呼ばれていましたが、令和4年の税制改正で、より対象や要件等が拡充された「賃上げ促進税制」へと制度が引き継がれました。
Ⅱ 適用要件と申告区分
1.適用対象期間
令和6年4月1日〜令和9年3月31までの間に開始する各事業年度
2.必須要件
◆青色申告書を提出する法人であること
◆雇用者に支払う給与等の支給額が、前年に比べ一定割合以上増加していること ※1
※1 全企業と中堅企業向けは3%増~、中小企業向けは1.5%増~
◆適用を受けようとする年度の確定申告書(当初申告)に、一定事項を記載した書類を添付すること
◆一定の出資要件、従業員数の要件を満たす場合は、マルチステークホルダー方針の公表及びその旨の届出をしていること
3.申告区分
(1)全企業向け
(2)中堅企業向け ※2
(3)中小企業向け ※2
※2 中堅企業の要件を満たす法人は、(1)または(2)から任意選択可
中小企業の要件を満たす法人は、(1)~(3)から任意選択可
4.用語定義
「中堅企業」と「中小企業」は言葉が似ていますが、以下のような違いがあります。
「中小企業」は「中堅企業」に比べ、要件が細かく定められています。
①中堅企業
一定の従業者数が2,000人以下の法人をいいます。
ただし、その法人及びその法人と一定の支配関係がある他の法人との従業者数の合計が10,000人を超えるものは除きます。
例えば以下のような場合だと、B社は中堅企業に該当しますが、A社とC社、D社は中堅企業に該当しません。
◆親会社A(以下A社)、A社の100%子会社B(B社)、A社の100%子会社C(C社)
C社の100%子会社D(D社=A社の孫会社)
◆A社=1,000人、B社=1,900人、C社=1,900人、D社=9,000人
②中小企業
2.の要件を満たす法人のうち、資本金(出資金)の額が1億円以下の法人をいいます。
資本(出資)がない法人の場合は、一定の従業者数が1,000人以下の法人をいいます。
また、ここには共同組合等も含みます。ただし以下のいずれかに該当する法人は、対象から除きます。
◆前3事業年度の所得金額の平均額が15億円を超える法人
◆同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人
◆2以上の大規模法人から、3分の2以上の出資を受ける法人
5.上乗せ要件
教育訓練に力を入れている企業や、子育てとの両立・女性活躍支援を行う企業は、一定の要件を満たすと、さらに5%又は10%の控除が受けられます。
ただしこちらは上乗せ要件であることから、前提として2.の要件を満たしている必要があるためご注意ください。
Ⅲ 中小企業への優遇措置
Ⅰより、本制度は黒字で納付税額がある法人を想定しています。
ただし中小企業は大企業に比べ資金力が乏しいため、賃金を上げたことにより企業の利益が減少したり、赤字になってしまうことも考えられます。
この点に配慮し、中小企業の要件を満たす法人については、賃上げを実施した年度に法人税を控除しきれなかった場合でも、以降5年間の繰越しをすることが出来るようになりました。
Ⅳ 注意点
Ⅲに記載した通り、今後は赤字の法人も本制度の恩恵を受けられるようになりました。
ただし過去にも赤字が多く、繰越欠損金が大量に残っている場合、税計算の仕組み上、ほとんどのケースで本制度を受けるメリットがありません。
とはいえ、賃上げの目的自体は税制上のメリットが受けられるかどうかによるものではないため、本制度に関わらず、企業は一定の賃上げを行い人手を維持確保する努力が必要と考えられます。
中小企業向け賃上げ促進税制の詳細は、下記よりご確認いただけます。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html
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