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2023年01月06日
相続が発生した方
長年連れ添った配偶者を亡くすということは大きな悲しみを伴うものです。そのような中、残された配偶者が住みなれた家を出ていかなければならないような事態を回避するため、配偶者居住権という制度が2020年4月に施行されました。
Ⅰ 配偶者居住権とは
配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として、終身または一定期間配偶者に建物使用を認める権利です。
Ⅱ 配偶者居住権のメリット・デメリット
1.メリット
配偶者居住権には、被相続人の配偶者が家に住み続ける従来の方法に比べて以下のメリットがあります。
(1)登記により第三者に対抗できる。
(2)遺留分問題のリスクを緩和できる。
(3)配偶者が生活資金や納税資金を相続できる。
まず、配偶者居住権は登記が義務付けられているため、第三者に対抗することができます。次に遺留分問題についてですが、価値の高い建物の所有権を配偶者が相続すると、他の相続人から遺留分侵害請求を受けるリスクがあります。これに対し建物に配偶者居住権を設定した場合、配偶者と所有者の間で建物の価値を分散して相続することが可能となります。また、配偶者居住権は所有権よりも価値が低いので、配偶者自身が預貯金などを相続しても、相続分のバランスが崩れにくい点もメリットの一つに挙げられます。
2.デメリット
配偶者居住権を利用した場合のデメリットとして考えられるのは次の事柄です。
まず、配偶者居住権は不動産所有権のように譲渡・売却ができません。よって配偶者の意思で自宅を売却をすることができなくなります。例えば、配偶者が老人ホームへの入居を希望した場合でも、資金作りのために自宅を売却することはできません。どうしても自宅の売却を希望する場合には、自宅の所有者と共同で行うという手続きを踏まなくてはなりません。
配偶者と子供が疎遠な場合など、遺産分割を巡り争いがおこり最終的には法定相続割合での分割となる場合があります。その際に所有権よりも評価が低くなる居住権を取得することで、法定相続分の範囲内で住居と生活費を確保しやすくなると考えられます。
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