2024年05月08日

相続登記の申請義務化

2024年4月1日より、不動産所有権に関する相続登記の申請義務化が始まりました。
すでに多くの媒体で取り上げられているため、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

今後は正当な理由なく期限内に相続登記を完了しない場合、ペナルティが課されるので注意が必要になります。

Ⅰ.そもそも相続登記とは?

土地や建物の所有者が亡くなった場合に、その土地や建物の名義を亡くなった方から遺産を引き継いだ方(相続人)へ変更する手続のことです。
申請手続きは、相続する土地を管轄している法務局で行います。

Ⅱ.相続登記の義務化とは

これまでは相続登記を申請するかどうかは相続人の任意とされていましたが、今後は相続登記をすることが法律上の義務になりました。
この新たな規定により、不動産の所有権を相続した者は、相続の開始を知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。

Ⅲ.義務化となった背景

相続登記がされないと、登記簿を見ただけでは不動産の現在の所有者やその所在を把握できません。
近年、相続登記が行われないまま所有者が特定できない空き家や空き地が適切に処分できず、不動産の取引をはじめ都市開発の妨げや生活環境の悪化といったにも社会問題となっています。
そこで、これらの所有者不明土地の発生を予防するために不動産登記法という法律が改正され、相続登記が義務化(令和6年4月1日施行)されることになりました。

Ⅳ.相続登記をしないとどうなる?

正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
遺産分割(相続人間の話合い)で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります。
特に注意が必要なのが、相続登記の義務化が施行される以前に相続した不動産においても対象となることです。
相続登記を完了させていない場合、改正法の施行日から3年以内に相続登記をしなければなりません。

しかし、音信不通の相続人がいる場合や相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合など、相続登記義務を履行したくてもで定められた期間内に登記できない可能性も考えられます。
そういった場合は「相続人申告登記」制度を利用することで、相続登記の義務を一応果たしたものとしてみなされペナルティを免れることができます。

相続人申告登記とは、登記簿上の所有者について相続が開始したことと自らがその相続人であることを申請する手続で、単独での申請も可能です。
この相続人申告登記をすることによって、相続登記申請義務を履行したものとみなすことができますので、何らかの事情ですぐに相続登記を申請できない場合に活用する形になります。
あくまでも相続人が誰かを証明するだけの制度であり、不動産の名義人を証明する登記ができるわけではありません。
相続登記がされないと所有者不明土地が増えてしまうという社会的な問題が発生するだけでなく、相続人にとっても大きなリスクがあります。

相続登記をしない場合のペナルティ以外のデメリットは、
◆長期間に渡って相続登記をせずに放置した結果、相続人の数が増えて権利関係が複雑になってしまう
◆登記簿上の所有者が亡くなった方のままのため、不動産の売却や担保提供ができない
◆相続人のなかに借金を抱えている人がいる場合、債権者に不動産の相続持分を差し押さえられてしまう恐れがある
などがあげられます。

相続登記を怠ると、不動産の所有権や相続税の手続きに問題が生じる可能性が高まります。
また、相続税の申告期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内となっていますが、手間や時間がかかるものがたくさんあります。
万が一の事態に備えて、未登記の不動産の有無を確認し、未登記であれば早めに登記を済ませておくことをおすすめします。
今回の義務化をきっかけに、相続対策についても家族や親戚間で話し合ってみるのもいかがでしょうか。

弊社では相続に関するご不明なことやお悩みもご相談いただけます。
この記事がお役に立てば幸いです。

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