事業承継
事業承継の進め方
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2024年11月11日
事業承継
はじめに
従来、事業承継税制と相続時精算課税制度は併用適用することが出来ませんでしたが、平成29年度税制改正によりその併用適用することが可能になり、税務リスクを最小限に抑えることができるようになりました。
ここでは簡単な具体例を挙げ、その併用適用の効果について見てみましょう。
Ⅰ事業承継税制について
事業承継税制とは、円滑な事業承継を促進するもので、先代(親)から跡継ぎ(子)に会社を譲るようなケース(他にも様々なパターンはあります)をイメージしてもらえると想像しやすいと思います。
しかし、事業承継(贈与)により課される税金を猶予、その後に免除される優遇税制なので、そこには一定の要件や、その後の経過を報告する義務があり、要件を満たさなくなったり報告義務を怠るとその優遇税制の適用は取り消されます。
Ⅱ相続時精算課税制度について
相続時精算課税制度とは、親から子へ生前贈与を行った際(こちらも様々なケースがあります)、贈与税が課されますが、その贈与資産をその時の評価額で固定し、相続の事実が生じた時に相続財産として組み込むことで、
贈与時に課される贈与税を一部免除(基礎控除110万円+特別控除2500万円)、その免除額を超える部分は20%課税(こちらは相続時に控除されます)される制度です。
Ⅲ具体的な一例
相続税評価額が5千万円の会社(法人)を経営している社長(先代)が、子(後継ぎ)に会社を承継させるケースを元に事業承継税制と相続時精算課税制度の併用適用について解説します。補足前提として、相続の事実は贈与後5年を経過した時とします。
1.なにも対応しない場合
会社の評価は5千万円であることから、贈与時に
( 5千万円△110万円(基礎控除) )×55%△640万円=20,495,000円
の贈与税が課されます。
贈与はこの時点で完了しているので、相続時においては相続財産に含まれません。
2.事業承継税制を適用した場合
贈与時において、事業承継税制の適用を受けているので、贈与税は猶予されます。相続時においても、その適用が取り消されていない場合には、相続財産に含まれません。
つまり、贈与税も免除され、相続財産に含まれないことから税負担は存在しません。
3.事業承継税制を適用していたがその適用が取り消された場合
(1)相続時精算課税制度を併用していないとき
贈与時においては、事業承継税制の適用から贈与税はありません。しかし、その取り消しをされた時から贈与時点まで遡って贈与税を計算するので
贈与税額20,495,000円+加算税及び延滞税(過去5年分)
が課されます。
(2)相続時精算課税制度を併用しているとき
贈与時においては、事業承継税制の適用から贈与税はありません。しかし、上記①と同様に贈与された時点まで遡って贈与税を計算することになりますが、相続時精算課税制度を併用適用しているので、
( 5千万円△110万円(基礎控除)△2500万円(特別控除) )×20%=4,780,000円
+加算税及び延滞税(過去5年分)
が課されます。
また、相続資産に含め相続税の申告をすることになりますが、上記4,780,000円については納付金額から控除されます。
まとめ
事業承継税制を適用し、その適用が取り消されることなく相続の事実が生じたときは、猶予されていた贈与税が免除され税負担がなく、税制の効果が一番高いのが把握できます。
平成30年の税制改正では、事業承継税制の適用についても要件等が緩和されましたが、不備が生じその適用が取り消されることも否定できません。
そういう税務リスクを考慮すると相続時精算課税制度との併用適用を検討することにメリットがあると言えるでしょう。
もちろん、相続時精算課税制度を採用すると、暦年課税に戻れない等のデメリットもあります。併用適用が万全な対策とは言えませんが、そこは専門知識を持った税理士等に相談することをお勧めします。
認定経営革新等支援機関であるNA税理士法人では、お客様にとって最善策をご提案致しております。お気軽にお問合せください。
※ 本記事は掲載日時点の法律等に基づいて執筆されております。(掲載日2024/11/11)
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