2023年11月13日

人事採用

人手不足時代の採用戦略

はじめに

生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の減少が続く中、人手不足が経営と直結する状況になりつつあります。中小企業にとっては、新卒のみならず20代の若年層の採用に苦慮しているところも多く、どうずれば人材を採用できるのか、また、長く定着してもらえるのでしょうか。

Ⅰ 現状として、学生の辞退理由

1位 賃金や労働時間の条件が良くない

※最近の学生は、先行き不透明な社会情勢を反映して、長期的なスパンではなく、数年先という    近い未来における明確なメリットを好む傾向にあります。 だからこそ「条件重視」なのでしょう。 

  2位  仕事が自分に合わないと思い辞退した

  3位 自分の成長やキャリア形成が見えないと思い辞退した

  4位 自分の能力・適性への不安を感じて辞退した

                     「出典:東京都社会保険労務士会 会報2023年9月号」

Ⅱ 中小企業に必要な【自社分析】

条件で勝負しては大手企業に分があります。学生が求めているものを本質的に理解し、中小企業ら       しさを活かしたアプローチが望まれます。学生が根本で求めているのは「安心」だと考えます。仕事経験がなく、まだ身を立てるだけの自信がない学生は安心して生活できるだけの基盤を持ちたいと願うものです。学生の求めている安心がどんなものなのか、まずは1on1で確認することが求められます。その上で自社の強みをカスタマイズして、安心材料として学生に伝えるといいでしょう。他には、企業文化を反映した特徴的な制度の導入もお勧めです。例えば、応援する推しのライブやイベントなどに参加する時に利用できる「推し休暇」、社員の誕生日がある月に休暇を取得できる「誕生日休暇」などを設けるのはどうでしょうか。重要なのは、社員である自分が組織から大切にされていると実感できることです。 

 Ⅰ 2~4位の項目には全て「自分」というワードが入っています。自分が組織から大切にされているという感覚は、大手企業では得にくい魅力と言えます。

Ⅲ 若年層人材の獲得

青年期に該当する20代は、自身のキャリアについて悩み、模索するものです。20年以上前から3年以内に3割離職する傾向は変わりません。新卒採用や内定の選考途中での辞退で、完全に縁が切れたわけではありません。ファーストキャリアでは他社を選択したものの、仕事経験を通して価値観が変化し、辞退企業の魅力を再認識することもあるでしょう。選考時の評価が高い人材であれば、出戻り歓迎の意思を最初から示しておくのもいいでしょう。場合によっては、書類選考免除などの優遇措置を提示するのもいいかもしれません。新卒採用をその場限りの学生対応と捉えずに、自社に興味をもった若年層人材との接触機会と捉え、より良い関係を継続していくことが大切です。評価が高い学生とはSNS等で繋がりを維持することで、再び獲得のチャンスが巡ってくるかもしれません。

おわりに 

魅力ある職場作り

新卒人材が好ましいと感じる環境には傾向があります。「チームで協力する」は8割以上の学生が、「コミュニケーションの多い職場」は7割以上の学生が好ましいと回答しています。学生視点に立って、日常的な職場環境に置き換えると、①頼れる人が身近にいて、自分が頼りにされている仕事がある、②挨拶と笑顔が多く、他部署との交流が活発に行われているといった感じでしょうか。新人はレベルの差こそあれ、やる気やモチベーションを持って入社します。その気持ちを消すことなく、活かしていくには、心理的安全性が確保され、萎縮せずに挑戦できる職場環境が必要です。人が育ち、気持ちよく仕事ができる職場作りが、少子化時代におけるこれからの経営に求められているのではないでしょうか。

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