2023年01月19日

給与計算

給与のデジタル払い

買い物などで現金の代わりにスマホを使って支払いを済ませる「キャッシュレス決済」が急速に普及しています。

このキャッシュレス決済を可能にしているのが「デジタルマネー」ですが、労働基準法の改正省令が公布され、従業員の同意がある場合などに限り、会社はこのデジタルマネーで給与の支払いができるようになります。施行は令和5年4月です。

Ⅰ 給与のデジタル払いとは

給与の支払い方法については労働基準法に定められており、原則は通貨(現金)払いとされ、例外として銀行口座と証券口座への振り込みを認めていました。

改正により「〇〇ペイ」といったスマホ決済サービスのアプリ口座を給与振込先として選択できるようになります。

Ⅱ 制度の背景

もともとは銀行口座を持たない外国人労働者の支援策として検討されていましたが、政府のデジタル化・キャッシュレス決済の普及推進により全労働者を対象として制度化されました。

課題であった経営破綻時の保証や不正利用時の補償、確実に現金化できるサービスの確立をスマホ決済サービス業者の指定要件に盛り込みました。

Ⅲ 知っておきたい制度導入のポイント

1.労使協定を締結の上、従業員が希望して同意した場合に限ります。強制とならないよう、同意をとる際は銀行口座等他の選択肢も提示しなければなりません。

2.振込先となるスマホ決済サービス業者は厚生労働省の指定を受けている必要があります。令和5年4月1日以降、申請に基づき審査の上決定されます。

3.現金化できないポイントや、仮想通貨での支払いは認められていません。

4.賃金規程、雇用契約書の内容の見直しが必要な場合があります。

Ⅳ メリット・デメリット

◆メリット

会社側には振込手数料の軽減、従業員側にはチャージの手間が省けるというメリットがあります。

◆デメリット

給与支払方法の多様化により給与担当者の負担が増加します。

また、決済サービスアプリ口座残高の上限は100万円で(超過分はアプリ口座に連携した銀行口座に振り込まれます)、高額な給与の支払いには不向きです。

  

海外ではキャッスレス化が進んでおり、日本でも社会全体でキャッシュレス化に向かう流れは変わらないでしょう。

給与のデジタル払いは義務ではなく、指定スマホ決済サービス業者の申請もこれからなど運用にあたってまだ不透明な部分がありますが、この機会に自社にとっての利便性や従業員のニーズ、現状のシステムで対応できるかを確認されてみてはいかがでしょうか。

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