2025年05月27日

税務・会計用語集

【103万円の壁】の現在地

Ⅰ はじめに

 令和7年度改正による「所得税」の「控除」に関する主な変更点は、

令和7年2月4日に国会に提出された「法律案」に、

同年2月28日に国会に提出された「修正案」を経て、下記となりました。

「修正案」により、「2.基礎控除の特例」が創設されました。

 いわゆる「103万円の壁」(本人に所得税が課される「壁」。以下同じ)はどうなったのでしょうか。

改正前と改正後の金額を確認してみましょう。

Ⅱ 各種控除の改正前後

1.基礎控除

  48万円 → 58万円(合計所得金額が2,350万円以下の場合)

2.基礎控除の特例(令和7年度改正で創設:合計所得金額が655万円以下の場合、基礎控除に加算)

  0円 → 37万円~5万円(*)

  (*)合計所得金額が132万円以下(37万円の控除)の場合は恒久措置、

     合計所得金額が132万円超(30万円~5万円の控除)の場合は令和7年分及び令和8年分の時限措置

3.給与所得控除(最低保障額)

  55万円 → 65万円(給与等の収入金額が162.5万円以下の場合)

4.配偶者特別控除

  配偶者特別控除で38万円の控除が適用される配偶者の合計所得金額

  95万円以下 → 95万円以下(変更なし)

5.扶養控除・特定親族特別控除

  (1):扶養控除(適用される親族の合計所得金額)

  48万円以下 → 58万円以下

  (2):特定親族特別控除(令和7年度改正で創設)

  0円 → 63万円~3万円(特定扶養親族の合計所得金額が58万円超~123万円以下の場合)

Ⅲ 「103万円の壁」の現在地

 改正前、所得税の課税最低限は、「1.基礎控除」(48万円)と「3.給与所得控除(最低保障額)」(55万円)の合計額の103万円で、

これをもって「103万円の壁」と言われていました。

 改正後、まず「1.基礎控除」(58万円)と「3.給与所得控除(最低保障額)」(65万円)の合計は123万円となります。

それに「2.基礎控除の特例」の最高控除額の37万円を加算すると、その合計は「160万円」となります。

 したがって「160万円の壁」が「103万円の壁」の現在地、ということになるのでしょうか。

Ⅳ 改正の背景

 「1.基礎控除」の48万円から10万円(20%程度)の引上げは、最後の基礎控除引上げ(平成7年)から令和5年にかけて、

20%程度上昇した消費者物価指数等の物価動向を勘案したようです。

 「3.給与所得控除(最低保障額)」の引上げは、「1.基礎控除」と同じく物価上昇への対応とともに、

就業調整による人手不足への対応も考慮されたようです。

Ⅴ 今後の対応

 上記の改正は、源泉徴収義務者の負担にも配慮しつつ、令和7年12月の年末調整から適用され、

令和8年1月1日以降は給与等の支払時に源泉徴収により行われます。

 先の話になりますが、令和8年1月1日以降の給与計算には、ご注意ください。

お問い合わせ

サービスのご利用についてのご相談や
お問い合わせなど、お気軽にご相談ください。

電話でのお問い合わせ

0120-35-1388

受付時間 09:00~17:00(月~金)

Webからのお問い合わせ

お問い合わせフォーム

電話やメール、当サイトのフォームを利用した当社への売り込みの一切をお断りしております。