会社設立
医療法人とは
個人事業主の方であれば法人化を検討される方も多くいらっしゃると思いますが、事業内容が「医業」である場合、つまり、ドクタ...
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2025年01月30日
会社設立
医業を行う個人事業主が法人化する場合、一般的には医療法人を設立することが多いですが、
近年は一般社団法人がクリニックを開設する事例があります。
医療法人ではなく一般社団法人で診療所経営を行うメリットとは何なのか、確認していきましょう。
Ⅰ 一般社団法人と医療法人
1.一般社団法人とは
一般社団法人は株式会社や合同会社と同様に法人格の一つとして存在しますが、特徴として非営利を目的とする法人であるということが挙げられます。
ただ、非営利の定義とは一般的に「その法人や団体であげた利益をその法人や団体の関係者に分配しないこと」をいうことから、配当など分配を行うことに制限はあるものの、事業で利益を上げてはいけないということではありません。
また毎期決算ごとの配当はできないものの、解散時の残余財産を分配することは可能です。
2.医療法人とは
医療法人は、医療法の規定に基づき設立される法人です。
そもそも法人化を行うことは、高額な医療設備の確保を行うためなどの資金調達を行うにあたり、個人よりも法人の方が資金を集めやすく、高度で安定的な医療サービスの提供を行うことができるという医療体制を確立できることから医療法人の設立も認められています。
ただし、医療法の規制で様々な制限が課されるなど、通常の法人と比較してより公益性の高い事業を行うことが求められます。一般社団法人と同じく非営利を目的としている点もその表れです。
医療法人についてはこちらの記事でも触れております。
Ⅱ 一般社団法人を設立するメリット
一般社団法人は医療法人と比較し下記のメリットがあります。
一般社団法人 | 医療法人 | ||||||||
設立 | 登記のみ | 登記と都道府県による認可 | |||||||
法人化 | 開業当初から法人化が可能 | 開業と同時に法人化することを認めない 都道府県もある | |||||||
理事長 | 医師である必要はない | 医師か歯科医師免許を保有している者 でなければならない | |||||||
業務 | 制限なし | 医業とそれに関する付帯業務のみ | |||||||
借入 引継 | 個人事業主の借入金を引き継げる | 個人事業主の借入金を引き継げない | |||||||
定款 変更等 | 随時行うことが可能 | 変更認可を受けたうえで行う | |||||||
設立 時期 | 随時設立可能 | 受付期間のみ |
このほかにも様々なメリットがありますが、上記の比較からも分かる通り、一般社団法人の方が医療法人よりも様々な面で手間がかかりません。
医療法人の方が医療法に基づく規制が多く、手続を厳格に行うことが求められている点が要因です。
Ⅲ 一般社団法人を設立するデメリット
一般社団法人で医療行為を行う場合、保健所にから許可を得たうえで医療行為を行う必要がありますが、医療法人のように医療行為を行うことを前提として設立される法人の形態ではありません。
保健所の一般社団法人による診療所の開設許可の申請は前例が少ないこともあり、行政の裁量によって開設の許可に時間を要する可能性もあります。
このほか医療法人とも共通するデメリットとして、都道府県から診療行為を行って良い認可を受ける時期、法人設立の時期など、どの手続きをいつ行うのかを予め把握していないと、クリニックが開設できても診療行為ができない等のトラブルに見舞われる可能性があることから、
法人設立に際しては行政書士や税理士など、専門家に相談した方が良いでしょう。
また、近年では美容医療の分野などに異業種でも参入できることから、一般社団法人のクリニックが急増しており、
クリニックの開設時に医療法人と同じ書類の提出を求める仕組みを導入する方針であることが2024年11月に厚生労働省内で検討されました。
厚生労働省によると、一般社団法人が開設するクリニックの数が去年の時点で780か所あり、この4年間で2倍近くに増加しているとのことで、
近い将来に一般社団法人での医療機関の設立に規制が加わる可能性があることも踏まえたうえで法人化を検討する必要もあります。
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