確定申告
外貨取引における為替差損益
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2024年09月17日
確定申告
はじめに
ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)は、投資対象として多くの関心を集めています。
「投資で利益を得たい」と考えている人にとって、暗号資産は非常に魅力的に映るかもしれません。
しかし、暗号資産で利益が出た場合、それに伴って税金を納めなければなりません。
暗号資産で得られる利益に対して、どのような仕組みで税が課せられるのかをしっかり理解しておくことが重要です。
Ⅰ 暗号資産(仮想通貨)の取引で税金はかかる?
結論から言えば、暗号資産(仮想通貨)の取引で発生した利益は課税対象です。
暗号資産(仮想通貨)の売買で生じた損益は原則として「雑所得」に分類されます。
雑所得の税率は「累進課税」になっており、5%から45%の所得税が課されます(給与所得など他の所得と合わせて算出される「総所得金額」に応じて変動)。
所得額が増えると税率も高くなってしまうため、早めに対策・検討を行っておくことが重要です。
Ⅱ 課税のタイミング
暗号資産(仮想通貨)が課税対象となるタイミングは、主に以下の4パターンがあります。
1.暗号資産(仮想通貨)を売却したとき
ビットコインや暗号資産を購入しておき、購入時の価格よりも高い価格で売却した場合に生じる利益(購入額と売却額の差)が課税対象です。
ここで重要なのは、売却というのは日本円に換金することを指す点です。
暗号資産交換業者から出金した時点ではなく、日本円に交換した時点で利益が確定したとみなされ、課税されます。
「ビットコインを売却して日本円に換金したけれど預けたままだから課税されない」というのは誤りです。
ただし、暗号資産の取引が常に利益を生むとは限りません。
ときには予想が外れて損失が発生するケースもあるでしょう。
同じ課税期間(1年間)に発生した利益と損失は、それぞれ相殺できます(損益通算といいます)。
そのため、売買の記録をしっかりと残して、購入額と売却額を把握しておくことが重要です。
2.暗号資産(仮想通貨)で商品を購入したとき
ビットコインなど主要な暗号資産の場合、そのまま決済手段として利用できる店舗もあります。
暗号資産で決済する場合、購入に利用した暗号資産を日本円に換金した場合と同様の課税が行われます。
商品購入やサービス提供に支払った暗号資産(仮想通貨)について、取得時の価格と、商品・サービスの日本円による価格の差が利益として課税対象になるのです。
たとえば、ビットコイン(BTC)を「1BTC=500万円」で取得した人が、1BTCで520万円の商品を購入したとします。
この場合、差額となる20万円が利益とみなされ課税対象になるのです。
3.他の暗号資産(仮想通貨)に交換したとき
暗号資産(仮想通貨)は、他の暗号資産(仮想通貨)と相互に交換できる性質を持ちます。
この暗号資産(仮想通貨)同士の交換も、課税の対象になり得ます。
保有している暗号資産(仮想通貨)をほかの暗号資産に交換した場合、取得時と交換時の「価格差」が利益とみなされます。
たとえば、ビットコイン(BTC)を1BTC=500万円のときに取得し、価格が1BTC=520万円に上昇した時点で520万円分のイーサリアム(ETH)と交換すると、差額の20万円が利益とみなされ課税対象になるのです。
さらに、交換した暗号資産が値上がりして日本円へ交換したり(前述1.)、商品購入に利用したりする(前述2.)と、その差額も利益として課税対象となる点に注意が必要です。
4.マイニング、ステーキング、レンディングなどで暗号資産(仮想通貨)を取得したとき
ビットコインやその他の暗号資産を取得するには、購入する以外にも「マイニング(採掘)」によって手に入れる方法があります。「マイニング」とは、暗号資産(仮想通貨)の売買取引を記録する作業であり、その成功報酬として暗号資産(仮想通貨)を得る仕組みを指します。マイニングによって暗号資産を取得する場合も課税対象になるため注意が必要です。
さらに、取得した暗号資産を保有し続け、価格上昇が発生した場合にも差額分の利益を得たとみなされ課税対象となるのです。
他にも、特定の暗号資産(仮想通貨)を保有し報酬を得る「ステーキング」、暗号資産(仮想通貨)を第三者に貸し付けて利率を設定し、利息を得る「レンディング」などがあります。
このような手法を通じて暗号資産(仮想通貨)を手に入れた場合、収益から必要経費を差し引いた利益が課税対象となります。
Ⅲ 暗号資産(仮想通貨)の所得の確定申告
暗号資産(仮想通貨)取引で利益を得た場合に、確定申告が必要になるケースがあります。
◆ 暗号資産(仮想通貨)を持っているだけなら確定申告の対象外
仮想通貨を円や商品に交換せずに保有しているだけなら、確定申告をする必要はありません。
税金が課税されるのは、売買によって発生した所得(利益)に対してのみです。
したがって、どれだけ含み益が発生している状態であっても、利益が確定しない限り、すでに取得して持っているだけの暗号資産(仮想通貨)については確定申告の義務も発生しません。
◆ 暗号資産(仮想通貨)による取引で利益が年間20万円を超えた場合、確定申告が必要
会社員など給与による収入がある人の場合、原則として会社から年末調整を受けているため、一定の条件に該当する場合を除き確定申告を行う必要はありません。
確定申告が必要なのは、暗号資産(仮想通貨)取引による年間利益と、給与以外の所得を合計した額が、20万円を超えたときです。
つまり、暗号資産(仮想通貨)の売買で得た総収入額から、必要経費(※)を差し引いた額が20万円を超える場合には、必ず確定申告をしなければなりません。
また、暗号資産(仮想通貨)による利益が20万円に届かなくても、副業などから得た利益と合わせると20万円を超える場合は申告が必要です。
確定申告をしなかった場合は「無申告加算税」や「重加算税」が課されるため、申告漏れには気をつけましょう。
※必要経費として計上できるもの
暗号資産(仮想通貨)の取得費用、出金手数料、取引手数料、暗号資産(仮想通貨)関連の書籍代やセミナー代など。
取引に使用している通信費も、暗号資産(仮想通貨)取引にかかる部分を明確に区分できる場合は、経費計上が可能です。
Ⅳ 暗号資産(仮想通貨)で得た雑所得の計算方法
では、実際に仮想通貨の取引で得られる雑所得はどのように計算するのでしょうか。
暗号資産(仮想通貨)取引による所得を算出する主な方法として挙げられるのが「総平均法(※)」です。原則として、個人の申告では総平均法を用います。
※総平均法とは、1年間の平均レートから計算される購入総額と売却総額との差額(所得)を計算する方法です。
たとえば、以下のような取引をしたとき、所得がいくらになるのか確認してみましょう。
◆ 取引履歴
2月:「1BTC=200万円」で5BTCを購入
3月:「1BTC=250万円」で2BTCを売却
7月:「1BTC=240万円」で5BTCを購入
9月:「1BTC=250万円」で2BTCを売却
(1)1年間の平均購入価格をもとめる
1年間の合計購入数量:5BTC + 5BTC = 10BTC
1年間の合計購入価格:200万円 × 5 + 240万円 × 5 = 2,200万円
1年間の平均購入価格:2,200万円 ÷ 10 = 220万円
(2)1年間の売却数量、売却価格をもとめる
1年間の合計売却数量:2BTC + 2BTC = 4BTC
1年間の合計売却価格=250万円 × 4 = 1,000万円
(3)所得の算出
220万円× 4=880万円(売却したBTCの取得費用合計)
1,000万円-880万円= 120万円(所得)
このように、1年間の合計購入数量と合計購入価格から、1年間の平均購入価格を算出し、1年間の合計売却数量をかけることで、売却したBTCの取得費用合計が算出されます。
これを売却価格の合計から引くことで、申告すべき所得額がわかります。
Ⅴ まとめ
所得の金額は、ご自身で収支計算をサポートするツールやソフトウェアを導入することで算出が可能です。
ただし、暗号資産(仮想通貨)の法体系や税務上の取り扱いについては整備の途上にあり、確定申告も決して容易ではありません。
算出した利益が年間20万円以上となり、確定申告が必要な方は税務署の窓口や税理士等にご相談されることをおすすめします。
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