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2023年02月08日
確定申告
Ⅰ 副業と現代について
サラリーマンは通常、会社が行う年末調整のみでその年分の所得税の精算が完了するため、一定の場合を除き確定申告をする必要がありません。
しかし働き方改革やSNSの急速な普及、さらに老後の2,000万円問題といった様々な要因により、副業をする人の数は増加傾向にあります。
副業の確定申告をするべきか、する場合はどの所得として申告するべきか(特に「事業所得」か「雑所得」かの判定)について、押さえておくべきポイントをご紹介します。
Ⅱ 確定申告をしなければいけない場合、しなくてもよい場合
会社で年末調整をしてもらっているサラリーマンの場合、一定の場合を除き、基本的に確定申告をするかしないかは任意です。
但し、副業があるサラリーマンで下記のどちらかに当てはまる場合は、会社からもらう給与等だけでなく、副業についても確定申告をしなければいけません。
◆副業で得た利益(収入ー経費)が年間で20万円を超える方
◆副業で得た利益(収入ー経費)は年間で20万円以下であるが、医療費控除やふるさと納税などの控除を受けるために確定申告をする方
また、副業があって上記のどちらにも該当しない場合、所得税の確定申告は不要ですが、ご自身が住んでいる市区町村に住民税の申告をしなければいけません。
※ サラリーマンの方であっても、「株・配当などの投資による副収入(譲渡所得または配当所得)」「自宅を売却して得た土地・建物等の売却益(譲渡所得)」「他人から無償で受け取った金銭など(贈与)」は、ここに記載する副業から除きます。
いずれの場合も、確定申告が必要な場合があります。
また副業であっても、不動産や船舶・航空機の貸付け、地上権などの不動産の上に存する権利は、「不動産所得」に該当します。
Ⅲ 事業所得と雑所得の区分判定について
「事業所得」「雑所得」のどちらに該当するかはこれまでにも度々議論されており、裁判で争われることも多々ありました。
これは、「雑所得」よりも「事業所得」で申告することの方が税制上のメリットがあるためですが、これまで副業である場合のほとんどは「雑所得」に区分されることが一般的でした。
「事業所得」と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至るかどうかで判定します。
裁決によると、社会通念上事業と称するに至る場合とは、以下のような場合であるとされています(最判昭和56年4月24日、東京地判昭和48年7月18日、他)。
1.自己の計算と危険において独立して営まれること(企画遂行性があること)
2.営利性、有償性があること
3.反復継続して遂行する意思、社会的地位が客観的に認められること
また「事業所得」の税制上のメリットは、具体的に次の5点があります。
1.青色申告特別控除を受けられる
2.損益通算ができる
3.損益通算で控除しきれない赤字は、翌年以降3年間繰越ができる
4.青色専従者給与が出せる(=家族に支払った給与を経費にすることができる)
5.30万円未満の減価償却資産の特例
Ⅳ 社会通念上事業と称するに至る場合の解釈
「事業所得」として区分されるかどうかについては、上記Ⅲの判例に基づき、社会通念で総合的に勘案して判定することが原則です。
諸点を踏まえて、改正後の所得税基本通達35-2を読むと、次のような内容が記載されていることがわかります。
1.その所得にかかる取引を帳簿書類に記録し、かつ記録した帳簿書類を保存している場合
→概ね「事業所得」に区分される(営利性、継続性、企画遂行性があるため)
但し、収入金額が僅少(年間300万円以下かつ、主たる収入に対する割合が10%未満)である場合や、所得が例年赤字かつ赤字解消の取組をしていない場合は、他の状況も総合的に勘案して個別に判断することとなります。
2.その所得にかかる取引を帳簿書類に記録していない場合、または記録していても帳簿書類を保存していない場合
→概ね「雑所得」に区分される(営利性、継続性、企画遂行性がないため)
3.条件は2.と同様であるが、その所得を得るための活動が年間収入金額300万円を超える規模である場合
→概ね「事業所得」に区分される(営利性、有償性があるため)
上記をまとめると、下図のようになります。
収入金額 | 記帳・帳簿書類の保存あり | 記帳・帳簿書類の保存なし |
---|---|---|
300万円超 | 概ね事業所得(一定の場合を除く) | 概ね雑所得(業務) |
300万円以下 | 概ね事業所得(一定の場合を除く) | 雑所得(業務) |
※こちらの記事に記載する内容は、あくまで参考事例としてお考えください。
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