2022年07月26日

法人事業税

外形標準課税

Ⅰ 外形標準課税とは

外形標準課税は、従来の所得に対する事業税が課される法人(特別法人等の一定の法人を除きます)に対して、従来の所得によるほか付加価値額及び資本金等の額を課税標準として事業税が課されるものです。資本金1億円超の法人には、外形標準課税が適用され、所得金額(所得割)だけでなく付加価値(付加価値割)や資本金等の額(資本割)も課税標準となります。赤字の法人の場合、所得割だけだと事業税の納税は生じないことになりますが、付加価値割や資本割は発生することも考えられます。付加価値割は、付加価値がマイナスであれば生じませんが、資本割はどんなに赤字が大きくても必ず生じます。

法人事業税の外形標準課税の導入については、平成15年度税制改正において、資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人を対象とする外形標準課税制度が創設され、平成16年4月1日から実施されることとなりました。

1.適用対象法人は?
外形標準課税の適用される法人は資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人であり、以下の法人を除きます。

(1)収入金額を課税標準とする事業のみを行う法人

(2)公益法人等

(3)特別法人

(4)人格のない社団等

(5)投資法人、特定目的会社、一定の法人 

2.課税標準と税額の算出

(1)所得割・・・所得金額×税率

(2)付加価値割・・・付加価値×税率
(付加価値=報酬給与+純支払利子+純支払賃借料+単年度損益)

(3)資本割・・・資本金等の額×税率

Ⅱ 付加価値割とは

付加価値割は各事業年度の付加価値額に対して事業税を課するものです。
各事業年度の付加価値額は、報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料(「収益配分額」といいます。)並びに単年度損益の合計額をいいます。

◆報酬給与額
給料、賞与、手当、退職金等の合計額をいいます。
◆純支払利子 
支払利子から受取利子を控除した金額をいいます。
◆純支払賃借料 
土地・家屋に係る支払賃借料から受取賃借料を控除した金額をいいます。
◆単年度損益
繰越欠損金控除前の所得割の課税標準をいいます。

3.単年度損益について

(1)単年度損益とは
各事業年度の単年度損益は、各事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額によるものとし地方税法又は、政令で特別の定めをする場合を除くほか、その各事業年度の法人税の課税標準である所得の計算の例によって算定します。よって、単年度損益の計算方法は、所得割の課税標準の算定とほぼ同一になります。

付加価値額 = 収益配分額 ± 単年度損益

4.雇用安定控除

(1)雇用安定控除とは?
その事業年度の収益配分額のうちにその事業年度の報酬給与額の占める割合が70%を超える法人の付加価値割の課税標準の算定については、その事業年度の付加価値額から雇用安定控除額を控除するものとします。雇用安定控除額とは、その事業年度の報酬給与額からその事業年度の収益配分額に70%を乗じて得た金額を控除した金額とします。これは、外形標準課税(報酬給与額も課税標準とされている)の導入による雇用に対する影響への懸念に配慮した措置であり、これにより、報酬給与額が収益配分額の70%を超える場合でも雇用や給与水準を維持した方が税負担が抑制されることとなるものです。

5.人材確保等促進税制による付加価値額の控除(時限措置)

(1)人材確保等促進税制による付加価値額の控除(時限措置)とは?
令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間に開始する事業年度について、以下の要件を満たす場合には、法人事業税付加価値割の算定において一定額を控除します。

(原則として、法人税の人材確保等促進税制の計算の例によります。)

※要件
( 新規雇用者給与等支給額 - 新規雇用者比較給与等支給額 ) ÷ 新規雇用者比較給与等支給額 ≧ 2%

※控除額

以下の算式により算定した金額を付加価値額から控除します。

控除額 = { 控除対象新規雇用者給与等支給額 × ( 報酬給与額 - 雇用安定控除額 ) } ÷ 報酬給与額

※ 非課税事業、収入金額課税事業を併せて行う場合には、非課税事業分、収入金額課税事業分の金額を除外するための計算(区分経理が困難な場合は、従業者数により按分します)を別途行う必要があります。

Ⅲ 資本割とは

資本割は、各事業年度の資本金等の額に対して事業税を課するものです。各事業年度の資本金等の額は、各事業年度終了の日における法人税法に規定する資本金等の額になります。なお清算中の法人については担税力がないため、ないものとみなします。

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