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2025年02月10日
福利厚生費
iDeCo+(イデコプラス)とは
個人の年金制度として人気の高いiDeCo(個人型確定拠出年金)ですが、従業員加入のiDeCoに、企業側が上乗せ拠出できる制度があります。
iDeCo+(イデコプラス)という制度です。
Ⅰ.そもそもiDeCoとは?
iDeCoとは、従業員が拠出した加入者掛金を、自分で運用し、自身の老後資産を形成する私的年金制度のひとつで、正式名称は「個人型確定拠出年金」です。
年金制度を建物に例えると、国民年金は年金制度の基本的な部分であり、1階建て部分にあたります。
厚生年金は国民年金に上乗せされますので、2階建て部分になります。これらの公的年金に加えて、3階建て部分としての上乗せされる私的年金制度の一つとして企業年金や個人年金があります。
公的年金だけでは老後資金が十分だとはいえません。そこで、企業年金のない会社員や専業主婦、自営業者なども公的年金に上乗せして将来の年金資産を増やせる個人年金制度がiDeCoです。
公的年金とは異なり、iDeCoへの加入は任意となっていることに加え、加入の申込や掛金の拠出、掛金の運用はすべて従業員自身が行います。
また、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に積立ができ、従業員は将来、掛金とその運用益との合計額をもとに給付額が決定する年金制度です。
Ⅱ.iDeCo+(iDeCoプラス)の概要
iDeCo+は、従業員が個人で加入しているiDeCoの掛金対し、事業主が掛金を上乗せするものです。
企業側の福利厚生の制度として、企業型DCという制度がありますが、iDeCo+の方が気軽に導入できるため、中小企業あるいはマイクロ法人で活用されています。
1. iDeCo+の加入要件
⑴事業主要
従業員(第一号厚生年金被保険者)300人以下の事業主。
企業年金(企業型DC・企業型DB及び厚生年金基金)を実施していないこと
⑵従業員要件
● 個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している従業員
● 厚生年金被保険者、かつ65歳未満の従業員
⑶労使合意要件
労働組合or労働者の過半数を代表する者との同意(掛金額変更の際も同意必要)
Ⅲ.iDeCo+のメリットデメリット
⑴メリット
事業主側
● 事業主掛金は、福利厚生費として損金算入でき、社会保険料の負担も増えない
● 管理手数料等の負担なく、従業員の福利厚生の実現が可能
※iDeCo+の口座管理手数料等は、加入者である従業員負担
● 企業型DCよりも、簡単に年金(退職金)制度の構築が可能
i福利厚生をより充実させることができるため、優秀な人材の確保や離職率の低減の一助となり得る
従業員側
● 事業主掛け金は、給与ではなく福利厚生費となるため、給与課税、社会保険料への影響はない
● 事業主掛け金の分だけ、将来の年金受給額が増える
⑵デメリット
事業主側
● 支出(福利厚生費)が増える
● iDeCo+を開始する場合、労使合意・就業規則等の変更が必要
従業員側
● 元々iDeCoに加入していない従業員は利用できないため、従業員間での不公平感が生じる
iDeCo+は、iDeCo加入者の掛金に企業が上乗せして拠出することにより、福利厚生の充実や将来の受取額の増加といった効果が期待できる制度です。
物価の上昇や、公的年金の受取額が将来的に減っていく可能性がある中、iDeCo+を福利厚生の一環として導入し、従業員が将来の不安を無くしてより安心して働ける環境づくりに役立ててはいかがでしょうか。