2025年01月10日

事業承継

事業承継とは

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいいます。
具体的には経営権のほか、株式等の会社の資産や事業に関する負債を引き継ぐことを指します。

しかし、会社の資産・負債と一口に言っても、様々なものがあります。
たとえば、経営者名義の土地、自動車、設備機械や、経営者が会社に貸し付けている金銭等も含めて承継しなくてはなりません。
また、金融資産や不動産、動産以外にも、長年お付き合いのある取引先との関係や企業のブランド価値、従業員等の人的資産も承継の対象となります。
一方で、銀行からの借入債務や取引先との間での買掛債務、従業員への未払の賃金債務といった負債があれば、それらの負債も承継の対象となることがあります。
事業承継に際しては、こうした有形無形の資産・負債を整理した上で、後継者へ適切に引き継いでいく必要があります。

◆事業承継で後継者に引き継ぐ会社の資産・負債の一例
人(経営)の承継:経営権、従業員
資産の承継:株式や設備、不動産などの事業用資産、資金、負債
知的資産の承継:技術・ノウハウ、取引先、顧客情報、知的財産

事業承継の方法は大きく分けて①親族内承継 ②親族外(従業員等)承継 ③M&A(第三者承継)の3つが挙げられます。
後継者探しや後継者の育成、売却先探しは慎重に進める必要があるため、どの方法をとるにしても承継するまでには半年以上かかることが一般的です。
そのため、事業承継では早めに誰に引き継ぐのかを選定し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
ここでは、事業承継の3つの方法について解説します。

親族内承継とは、経営者の親族に事業を承継する方法です。
特徴としては、特に中小企業では、親族内承継は従業員や取引先などの関係者から受け入れられやすいという点です。
後継者となる親族を従業員として経営者と一緒に数年間働くなどすることで、後継者教育のための環境を確保しやすいといえます。
加えて、生前贈与や相続によって経営者の持つ資産を移転できるため、事業承継の手続きがスムーズです。
一方、後継者候補本人に継ぐ意思がある、もしくは適性があるとは限らない、という点に注意が必要です。

親族内承継のメリット
・関係者から心情的に受け入れられやすい
・後継者教育を行う準備期間の確保が可能
・相続等による所有と経営の分離回避

親族内承継の注意点・デメリット
・適性のある親族がいるとは限らない
・後継者の決定、経営権の集中が難しい

※親族内承継での注意点
親族内承継の場合、子供や子供の配偶者、兄弟姉妹、甥、姪など、数少ない候補者から後継者を選ぶことになるため、経営者として十分な資質を備えた人材を後継者にできるとは限りません。
また、経営者に複数の子供がいてそのうち1人が後継者になる場合などは、後継者以外の子供への配慮も必要です。

親族外(従業員等)承継とは、親族以外の役員や従業員に事業を承継する方法です。
特に中小企業では、会社の役員や従業員から後継者を選ぶケースも見られます。
特徴としては、全従業員の中から、特に経営者としての資質を備えた人材を選定することができるため、承継後も安定した経営が期待できることが挙げられます。
自社に勤め、経営方針や会社の風土を理解し、業務上必要なスキル・ノウハウを身に付けた従業員が後継者となれば、引き継いだ後も安心です。
また、親族内承継と比べて、後継者の育成に時間がかからないというメリットもあります。

従業員等への社内承継のメリット
・会社・事業に詳しい人にスムーズに承継できる
・経営者としての資質、適性の見極めができる

従業員等への社内承継の注意点・デメリット
・適任者がいないおそれがある
・後継者に求められる株式取得等の資金力問題
・個人債務保証の引き継ぎ

※親族外承継での注意点
親族外承継での特に大きな問題としては、後継者候補に資金力がない場合が多いということです。
後継者に株式を引き継ぐ際、後継者は株式を買い取る資金を用意しなければなりません。
株式を無償で引き継ぐこともできますが、贈与税の納付が必要となる場合があります。
また、経営者にとって信頼できる人材と他の従業員にとって信頼できる人材は異なるという点にも注意しましょう。

M&A(第三者承継)とは、第三者(他の会社や個人)に会社を売却する方法です。
特徴としては、幅広く後継者に適した人物を探せるという点です。
加えて、株主に売却益が残る場合もあるということが挙げられます。
近年は経営者の高齢化に伴い、後継者不在が社会問題としてクローズアップされていることを背景に、中小企業のM&Aによる事業承継の件数は増加傾向にあります。
第三者への承継は、後継者候補が不在でも会社を残すことができること、従業員の雇用を確保できることなどが特長です。
反面、自力では候補者探しに限界があるため、M&A仲介会社など外部の専門家の協力が不可欠です。

第三者への承継(M&A)のメリット
・後継者を広く外部に求められる
・個人保証や、個人資産の担保提供から解放される
・創業者利益を確保できる

第三者への承継(M&A)の注意点・デメリット
・希望の相手を見つけるのが自力では困難
・文化やシステムの統合を丁寧に進める必要がある
・経営方針が譲受け側に委ねられる
・利害関係者に対して十分な説明が必要

弊社では、事業承継の方法・タイミングについてのアドバイスや、それにともなう贈与、相続、譲渡に関わる自社株評価、資金面や事業承継税制等の適用といった税務面でのサポートのご相談を承っております。
また、M&A(第三者承継)に関するお客様のご相談に対し、提携先の専門機関と連携しながら、きめ細やかなサポートをご提供しております。
事業承継に関するご相談やご質問がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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