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2025年08月18日
AIと税務の今後
1.はじめに AIの活用
昨今、さまざまな事業・業種において、AIの導入が進められています。
定型業務やデータ処理をAIに任せることで、業務の効率化や人件費や作業時間などのコスト削減につながっています。
一方で、専門性の高い分野では、AI導入が敬遠されがちであり、導入そのものが遅れてしまっているケースも見受けられます。
税務の分野も、こうした専門性の高い領域の1つになります。
2.国税庁におけるAI活用の進展
税務分野では長らく「人の判断」が重視されてきましたが、国税庁でも2023年以降、本格的にAIの活用が始まっています。
たとえば、国税庁ではAIに申告漏れの事例を学習させることで、申告漏れのリスクが高い納税者を対象に税務調査を取り組んだ結果、2023年6月から1年間で所得税に関する税務調査で、追徴課税が1398億円余りとなり、過去最多となったと報じられています。
3.相続税分野でもAIが導入
さらに、国税庁は今夏より相続税の税務調査などにもAIを活用していく方針を示しています。
2025年は、いわゆる団塊の世代の方々がすべて75歳以上になり、今後相続件数が大幅に増加すると見込まれています。
国税庁では、これに備え2023年に発生した相続事案をもとにAIで分析、データとして活用していくとしています。
今後は従来ベテラン職員の経験に頼っていた調査対象の選定等を、AIがサポートする形で進めていくことになります。
AIの活用によって、これまで以上に網羅的かつ深度のある調査が実現される可能性がある一方で、納税者側においても、情報の整理や証拠書類の保管など、事前準備の重要性がさらに高まっていくと考えられます。
4.今後について
AIが税務調査や税務行政に取り入れられつつある中で、私たちも「これまでどおり」の対応では通用しなくなる時代に入りつつあります。
日頃から帳簿や証憑の整備を心がけること、曖昧な取引についてはメモを残すこと、税理士としっかり情報を共有することなど、基本的な備えをしておくことが、AI時代の“守り”としてますます重要になるでしょう。
これを機に、皆さんの事業や相続対策についても、一度見直してみてはいかがでしょうか。
NA税理士法人では、税務・相続に関するご相談を随時承っております。
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