2024年08月23日

消費税

2割特例の適用範囲

インボイス制度は、消費税の標準税率10%と軽減税率8%が混在する複数税率制度のもと、売手側と買手側の適用税率の認識を一致させるため、売手側が適用した税率を買手側に伝える目的で導入されました。
そのため本制度は、売手側が消費税を納めるべき事業者(以下「課税事業者」)であることを前提としており、インボイス発行事業者になるためには、まずその事業者自身が「課税事業者」でなければならないこととなります。
よって、本来消費税を必ずしも納める必要のない小規模な事業者(以下「免税事業者」)であったとしても、インボイス発行事業者の登録を受けた後はインボイス発行が出来るようになると同時に、課税事業者になるため消費税の申告・納付義務を負うこととなります。

Ⅰについて、それまで免税事業者であった方が課税事業者となり、消費税の申告・納付をしなければならないこととなると、事業規模から推定される所得水準、消費税の申告・納付に伴う新たな事務作業の増加等、実務の現場において様々な負担や混乱の発生が懸念されます。
そこで、これらの事業者に対しては一定期間、通常事業として行った全ての取引について消費税の取扱いを確認すべきところ、概ねその課税期間の課税売上高に対する消費税額のうち2割のみを申告・納付すれば良いこととする時限措置が設けられました(=2割特例)。
この特例は、令和8年9月30日までの日の属する課税期間について適用されます。

ⅠとⅡの経緯より、「本来免税事業者であるが、インボイス発行事業者の登録を受けたため課税事業者となった場合」についてのみ、2割特例が適用されることとなります。
また2割特例の適用にあたり、事前の申請・届出等をする必要はなく、申告書にその旨を付記するのみで良いこととされています。
ただしこの特例の適用は、インボイス発行事業者になったため新たに税負担や事務負担が増え、それにより不都合が生じる事業者を想定しているため、インボイス発行事業者の登録に関わらず課税事業者である場合やインボイス発行事業者になること以外の目的で課税事業者になった場合等は、この特例の適用対象範囲から除かれています。

◆基準期間や特定期間の課税売上高が1,000万円を超える場合
◆課税事業者の選択をし、かつおおよそ選択後2年以内に一定の資産を購入した場合(例外有)
◆相続・合併・会社分割等で事業を承継したことにより、課税事業者となる場合(例外有)
◆新設法人、特定新規設立法人に該当する場合
◆課税事業者となった課税期間中に一定の高額な資産を購入した場合(例外有)
◆課税期間の短縮等をしている場合(課税期間の短縮は、輸出免税による消費税の早期還付を想定しているため)
◆恒久的施設をもたない国外事業者

上記のいずれかに該当する場合、2割特例の適用を受けることは出来ません。

2割特例は多くの事業者にとって税負担・事務負担ともに軽減するものですが、卸売業を主たる事業とする事業者の多くは、
2割特例の適用を受けるよりも、簡易課税の適用を受ける方が、消費税の負担を軽減させることができます。
事務負担面においても、簡易課税の適用を受ける旨の届出が予め適切に提出されれば、2割特例と大きく異なる点はありません。
また、インボイス制度導入に伴う簡易課税に関する時限措置として、一旦2割特例の適用を受けたことがある事業者については、簡易課税の適用を受けたい課税期間中に上記の届出を行うことで、その提出をした課税期間から直ちに簡易課税の適用を受けることが出来ます。

最新の税務動向を知り、その時々で事業者にとって最善の選択をするためには、常に何らかの方法で情報を集めることが大切です。
新聞やニュース、当法人のお客様は毎月の刊行物等も参考にしつつ、適宜見直しをしてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ

サービスのご利用についてのご相談や
お問い合わせなど、お気軽にご相談ください。

電話でのお問い合わせ

0120-35-1388

受付時間 09:00~17:00(月~金)

Webからのお問い合わせ

お問い合わせフォーム

電話やメール、当サイトのフォームを利用した当社への売り込みの一切をお断りしております。