2024年11月26日

口座凍結について

                                               

「口座凍結」という言葉は皆さんご存じでしょうか。

身内の方がお亡くなりになり、「口座凍結されると困るから慌てて預金を引き出した」というケースが意外に多いのですが、気を付けていただきたいことがございます。

一定の条件に該当した場合に、金融機関口座の取引が停止されることです。
お金を下ろすだけではなく、振込や口座引き落としも一切できなくなります。

口座凍結される条件
口座凍結される条件とは一般的に以下が考えられます。

・債務整理の対象になる場合
・口座が不正取引に利用された場合
・名義人が死亡した場合
・名義人が認知症であると認められた場合

元通り使えるようにするには一定の手続きが必要となるため、
「凍結される前に必要なお金を先に引き出しておこう」

などと、単独で亡くなった方の口座から引き出すことは、後で取り返しのつかないことになるケースがあります。

“引き出したお金が全て葬儀費用など故人の整理費用に使ったことがきちんと証明できたり、手を付けず現金のまま保管してあれば良いのですが、
一部を自分の消費に使ってしまったり、整理費用に使ったことが証明できないと「亡くなった方の財産を単純承認する意思がある」とみなされてしまう可能性があるからです。

亡くなった方の預貯金や不動産などプラスの財産も、借金などのマイナスの財産もすべて引き継ぐことを「単純承認」と言います。

単純承認したとみなされると、後に資産がマイナスだと判明しても相続放棄ができなくなったり、
故人に借金や処分に困るような土地があった場合でも全て引き継がなくてはなりません。また、他の相続人とのトラブルの元にもなることもあります。”

本来、相続人には財産を引き継ぐかどうかを検討して、引継ぎたくない場合は「相続放棄」をする権利があります。
「相続放棄」は亡くなった方の遺産をマイナスの財産だけでなく、預貯金や不動産などプラスの財産も全て相続することを拒否することです。

たとえば、財産より負債の方が多いときや相続トラブルに巻き込まれたくないとき、遺産の額や借金があるかどうかも分からない場合に検討します。
実際、遺言書が残されてなく、分割協議で法定相続人全員で話合わなくならなければならない時に「絶対に会いたくない親族がいる」という理由で相続放棄される方もいらっしゃいました。
相続放棄には、相続の開始を知った日から3か月と期限が定められており(手続きにより延長可能)その間に他の選択肢も合わせて検討し手続きを行います。

その他の選択肢として「単純承認」の他に「限定承認」があります。
限定承認は、亡くなった方の遺産のうち、マイナスの財産を清算して財産が残れば相続人が相続するという方法です。
被相続人にもしかしたら借金があるかもしれないなど、遺産がどれくらいあるのか全く分からない場合や、どうしても相続したい遺産がある場合に検討します。
このように、亡くなった方の財産を引き継ぐには、いくつかの選択肢があるのですが、亡くなった方の財産を把握していない状況で、お金を引き出して使ってしまうと検討の余地なく「単純承認」とみなされてしまうかもしれません。
それにも関わらず、「口座凍結される前に全部預金を引き出さなきゃいけない」という風に思いこんでいる方は少なくありません。

口座凍結は、銀行が死亡を把握した時に初めて凍結されます。
ですので、名義人が亡くなってすぐに凍結されるわけではありません。
また、亡くなった方の高額な医療費や葬儀費用などの立替えなどで、残された家族の生活が困窮しないようにするための救済策として、令和元年7月1日に創設された「仮払い制度」で対応することができます。
この制度を使えば、各相続人が単独で凍結口座から預金の払戻しを受けることができます。
※払戻しを受けられる金額に上限あり。

口座凍結で心配されるケースのひとつとして、認知症と診断された場合があげられます。
この場合介護費用などの多額な出費がかかっても、引き出すことはできなくなります。

その他、不動産の売却など一切の契約ができなくなるので、親御さまの健康状態や資産状況によっては事前の対策が必要になります。
事前にとれる対策としては

・家族信託
・任意後見人制度

があげられますが、そもそも対策が必要な資産状況なのかの確認が大切です。
何もわからないから、決められないからといって全てを託してしまうことは無駄なコストを支払うことになりかねません。

自分達でできること託すことの線引きをするためにも、親御さまの資産状況や意向ついては元気なうちに話をしておきましょう。
また、ご自身が残す側の立場であれば、家計や資産状況を把握していない状態ですと、様々なトラブルの種になります。

一度きちんと整理をしたい方、是非ご相談ください。

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