2025年03月03日
スタッフブログ
「薬師寺」
奈良の西ノ京に、薬師寺というお寺があります。
1300年前からあるお寺で、お写経をみんなに書いてもらうことにより、度重なる災害によってなくなってしまった、白鳳時代の建物を復活させている、ちょっと変わったお寺ですが、私にとって特別なお寺になっています。
私が、薬師寺に行くきっかけになったのは、2005年、上野にある東京国立博物館に、薬師寺の特別展を見に行き、そこにいた日光菩薩と月光菩薩のあまりの美しさに感動し、今度は薬師寺に行ってその時は来られなかった、薬師如来を見てみたいと思ったからです。
そこで見に行った、ご本尊の薬師如来の姿は、大きく温かくすべてを包み込むような安心感がありました。しばしその場で眺めて過ごし、名残惜しい気持ち、後ろ髪を引かれる思いで、また来ますと言って、その場を後にした記憶があります。
そして次に行った時、びっくりした景色が。
東塔解体修復事業
の文字とともに、白とグレーの横断幕に覆われ、姿かたちも見えないたぶんここに東塔があるんだろうなという一角ができていました。
東塔は、薬師寺の中で唯一、1300年前の創建当時のまま残っている建物です。
後から聞いた話では、塔の心柱が腐り、シロアリの被害でボロボロになっていたということで、その修復工事だそうです。
2009年から工事が始まってすぐに大きな出来事が起こりました。
2011年の東日本大震災です。
西にある薬師寺なので、被害が出たわけではありませんが、国宝の東塔は、国から工事費用の一部が出るため、震災の影響で予算がかなり減らされたそうです。
その中で、薬師寺は、今までの建物も、写経で復活させたお寺なのだからと、これはしゃきゅで費用を集めようと、文部科学省に直談判し、写経をしまう棚を、塔の中腹に作らせてもらう許可をもらい、特別写経で、地道にお金を集め、また関西の大きな会社からも寄付があり、ようやく修理が完了し、いよいよ来年5月に落慶法要がおこなわれると、楽しみにしていた時、また大きな出来事が。
2020年の新型コロナの流行です。震災で工期が延びたうえに、感染症の流行で落慶式も延期になる、という、不運続きではありましたが、こんな時こそ薬師如来、薬師寺なのかなとおもいました。
そしてようやく落ち着きはじめ、人が集まってもよい感じになってきた、2023年4月、落慶法要が行われ、久しぶりに東塔と、西塔がそろいました。
冒頭に、私にとって特別なお寺になっていると言った理由は、その東塔の中に、私が書いた写経が入っている。
ということです。
お寺の方の話では、東塔とともに全部まとめて、国宝なのだと。.なので私の書いた写経も国宝の一部です。
本当かどうかはわかりません。
ただ、何百年か先に、修復工事が行われる際には、国宝東塔の中に私の書いた写経もしれっと入っていて、国宝同様に、修復工事が終わったら、また元の棚に戻されて、また国宝の一部として存在し続けるみたいです。
もし、奈良に行くことがあれば、薬師寺で東塔を眺め、あの中に、私を含めた一般人の会社写経が入っているんだと、見ていただけたら嬉しいです。